収録レポート:ゲストKAZの音楽的ルーツとセッションの化学反応
『Spicy Sessions』は、ゲストのルーツや音楽観を掘り下げながら、生バンドとともにセッションを作り上げていく音楽番組です。歌割りやアレンジをゲストやバンドと話し合い、音楽が立ち上がっていく過程を見せることが番組の大きな魅力となっています。
第29回には、GENERATIONSのボーカリスト・数原龍友さんがソロアーティストKAZとして出演しました。KAZさんはMCに呼び込まれ、「憂鬱な朝。そんな時に自分を高めるのが音楽だった。皆さんの朝を素敵にできるようにと思って作った」と紹介し、アコースティックギターを弾きながらソロ曲「Beautiful Sunrise」を披露しました。2000年代以降のサーフミュージックを思わせるアップテンポなナンバーで、リズムを捉えながら声の強弱やニュアンスを細やかに変える歌唱に、観客も手拍子で引き込まれていました。

KAZさんは『Spicy Sessions』での黒沢さんと中西さんの歌唱映像を見て、出演を希望したそうです。トークでは、2012年のGENERATIONSデビューから、2019年のソロ活動開始、2024年のソロ名義“KAZ”でのオリジナルアルバム『STYLE』リリース、そして47都道府県を巡るライブツアー『KAZ Acoustic Live』など、自身の歌を追求してきた歩みが振り返られました。黒沢さんを中心に、親の影響でEXILEの音楽に触れ、やがてR&Bやヒップホップへとたどり着いたKAZさんの音楽的ルーツが丁寧に紐解かれました。
KAZと黒沢薫のセッション:Marvin Gaye「What’s Going On」
最初のセッション曲は、KAZさんがオーディションの課題曲として歌ったという思い入れのあるMarvin Gaye「What’s Going On」でした。「今の時代に選曲すべき曲ですね」と黒沢さんがコメントし、KAZさんは「いろんな想いが詰まっている。爽やかに歌うことで、メッセージ性がより強くなる」と語りました。
譜面が配られると、KAZさん、黒沢さん、バンドメンバーが歌割りやアレンジについて話し合いを始めました。黒沢さんがKAZさんに歌割りを任せる場面や、中西さんにコーラス参加を提案する場面など、セッションが形になっていく過程が披露されました。歌い終えた後、KAZさんは「感慨深いですね。(この曲を)初めて人前で歌ったんで」とコメントしました。

原曲へのリスペクトを土台にしつつも、互いの歌を聴き、その瞬間に生まれたニュアンスを受け取りながら次のフレーズへと繋いでいく、まさに『Spicy Sessions』ならではのセッションとなりました。
KAZと中西アルノのセッション:古内東子「誰より好きなのに」
続いて、KAZさんと中西さんによるセッションが行われました。KAZさんが選んだのは古内東子「誰より好きなのに」。女性の気持ちを知るために女性アーティストの曲を聴いていたというKAZさんは、「愛が生む幸せと憎しみは表裏一体」と感じたそうです。黒沢さんも「古内東子さんは、アルノさん声合うよね」とコメントし、KAZさんも同意見でした。
中西さんは「女の子のもどかしい気持ちをKAZさんが歌ってくれることにびっくり」と感想を伝えました。本番では、イントロでステージの照明がパープルに変わり、R&Bを根に持つKAZさんの艶っぽい歌声と、言葉とメロディーを丁寧にすくい上げる中西さんの透明感のある歌声が鮮やかに交わりました。2人の声が織りなすことで、古内東子が描いた恋の情景に新たな陰影が生まれました。

黒沢薫とKAZのセッション:中西保志「最後の雨」
黒沢さんからのリクエストで、中西保志さんの「最後の雨」がセッション曲に選ばれました。MCの中西さんは「『Spicy Sessions』でずっと聴きたいと思っていたので、念願が叶って嬉しい」とコメントしました。KAZさん自身もこの曲をカバーしており、そのバージョンを聴いて黒沢さんがセッション曲に選んだそうです。歌割りはKAZさんが担当し、披露されました。
歌唱後、黒沢さんは「歌い手のアプローチの違いが明確になって。KAZくんのちょっとリズムを後ろに置きに行くのも良いし、僕は中西さんリスペクトでがーっと歌っていって」と振り返りました。中西さんは「黒沢さん印、KAZさん印がちゃんとあって。でもユニゾンもハモもぶつかることがない」と感想を語り、「ぜひ音源化してほしい」と締めくくると、観客からも大きな拍手が起こりました。

中西アルノのソロ歌唱:松田聖子「SWEET MEMORIES」
この日の最後は、中西さんのソロ歌唱コーナーでした。選んだのは松田聖子さんの「SWEET MEMORIES」。ベーシストがウッドベースに持ち替え、特別なアレンジで中西さんが歌い始めると、スタジオは「BLUE NOTE TOKYO」や「Billboard Live TOKYO」のような空間へと変化しました。中西さんの歌唱、そして楽曲に対する解像度が、『Spicy Sessions』を通して何段階も上がっていることを実感させるパフォーマンスでした。

黒沢さんは「声を張るのを封印。それに合わせたバンドの大人な演奏」と、中西さんとバンドにそれぞれ賛辞を贈りました。
MCインタビュー:音楽番組が育む「自由さ」と「成長」
収録後、MCの黒沢 薫さんと中西アルノさんにインタビューが行われました。
KAZさんが番組をよく知っていて、過去回まで掘り下げた上でリスペクトを言葉にしてくれたことについて、黒沢さんは「長く続けてきたことで、『面白い音楽番組をやっている』と、音楽をやっている人たちに少しずつ浸透してきた感覚はあります。KAZくんも『出たい』と言って出演してくれた。これは嬉しい傾向ですね」と喜びを語りました。中西さんも「アイドルだからと聴く前から判断されるような先入観を、どうにか壊していきたいと思っていました。今日もKAZさんが『素敵な歌声の人がいると思っていた』と言ってくださって。そのきっかけがこの番組だったことが、何より嬉しいです」と、番組が自身の成長に繋がっていることを実感している様子でした。
「What’s Going On」のセッションについては、黒沢さんがMarvin Gayeの原曲とDonny Hathawayのライブ版をミックスし、さらにオリジナルの要素も加えたことを明かしました。中西さんは「どこまでアドリブなのか全然わからないです(笑)。でも『自由にやっていいよ』と言っていただいたので、自分もちょっと違う感じで歌ってみたんです」と、自由なセッションを楽しんだことを語りました。黒沢さんは「入るべきスポットが見えるようになってきたんですよ。『ここの間に入ればいいんだ』っていうのが、少しずつ見えてきている。これはもうセッションシンガーの目線なので、この番組はとんでもない人を育ててしまっているなと思います(笑)」と、中西さんの成長を高く評価しました。
「誰より好きなのに」のセッションでは、KAZさんが言葉を置くように歌っていたのが印象的だったと中西さんは語り、「KAZさんが見ている景色に乗っていった感覚です。私は、叶わなかった恋に未練タラタラな女の子を想像して歌っていました」と、自身の表現について述べました。
「最後の雨」については、黒沢さんが「僕は1992年に原曲を聴いて『すごくいい曲だ』と思って、カラオケでも歌っていた世代なので、あまり崩したくない。一方、KAZくんは自然に『自分の歌としてどうアプローチするか』を考えられる世代だと思うんです。だから僕は、中西保志さんの完コピでもなく、KAZくんほど自由でもない、その真ん中に黒沢 薫を置こうとしました」と、異なるアプローチの融合について説明しました。
中西さんのソロ歌唱「SWEET MEMORIES」について、中西さんは「リハの時、バンドの皆さんに『音数を減らしたい』『クリックなしでやりたい』と相談しました。昔のことをぽつぽつと思い出しているような雰囲気で歌いたかったのと、松田聖子さんとは違う『SWEET MEMORIES』を表現したかったんです」と、自身のこだわりを明かしました。黒沢さんは、中西さんが「自分が設定した歌の温度を保つために、『音数を減らしてほしい』とバンドへ要求するようになった」ことを「これは大きいですよ」と評価し、「『ただ歌が上手い』をやりたいわけではない。歌手として自分の世界観を作りたいと思うようになっているから」と、中西さんのアーティストとしての成長を指摘しました。
最後に黒沢さんは、KAZさんがセッションを楽しんでくれたことに喜びを感じ、「グループでは普段、決められたものをきっちりやることが多い。で、そこから自由になる時間って、やっぱり楽しいんですよ。もちろん怖くもある。でも、その自由さ、その楽しさを3人で分かち合えたのが、とても良かったと思います」と締めくくりました。

放送情報
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放送日時:『Spicy Sessions with KAZ(GENERATIONS/数原龍友)』2026年8月22日(土)午後11時30分〜深夜0時30分
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放送チャンネル:CS放送TBSチャンネル1
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公式SNS:
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